【ブログ】軍隊型研修の是非~誰がための研修か!?~

「軍隊型」研修に関する事件

数年前ですが、このような記事を見ました。

『ゼリア新薬の22歳男性「ある種異様な」新人研修受け自殺 両親が提訴』

事実確認は裁判の中で行われているかと思いますが、研修内容としては、所謂「軍隊型」(個人的には、ソルジャー育成研修と呼んでます)で、3日間缶詰状態にして、人格攻撃し、一度壊して、会社人としてふさわしい「ソルジャー」に仕上げる・再構築するというものです。どうも記事を見る限りは、この研修が大きな影響を与えたように推されます。

最近、高校野球などのスポーツ業界においても「選手は兵士か!?」といった意見が出ていますが、軍隊型の育成方法には色々な問題点があります。

「軍隊型」研修を行う理由と問題点

この手の研修は、ゼリア新薬だけに限りません。色々な会社が取り入れています。その意図は様々ですが、よくあるケースとしては、次の二つです。

①実際の仕事で辛いことがあるので事前に耐性をつけておく(”あれに耐えられたなら大体大丈夫”のような感じ)
②採用後のスクリーニング(タフな人間だけ残すため)

に関しては、特に営業職に多いです(今回のゼリア新薬も恐らくはMR職の方でしょう)。現場に出れば、お客さんから理不尽なことを言われることも多い、だから一度辛いことを経験させ、耐性をつけさせてから、現場に出そうというものです。

(因みに、私自身、高校の入学の際、入社の際に似たようなことを経験しました。個人的には「なんだ、またこれか」程度でなんともありませんでしたが、何日か学校を休んだ同級生や、血尿が出た同期もいました。)

に関しては、やや悪質なパターンです。これは、採用時点で必要な人員より多めに採用しておき、入社後に厳しい研修でフィルターをかけて、タフな人間だけを残す、と、採用の一部として行うパターンです。

「実際働くまでは分からないし、誰か辞めてから補充するでは時間・費用がかかる、だから多めに採用してしまおう」と。「とはいえ、解雇するのも難しい、だったら、厳しい環境を与えることで、タフな人間だけ残して、他は自主的に辞めてもらおう」と。「とはいえ、配属先の各上司には指導負担がかかるから、代わりに研修でそれをやろう、向かない人や、やる気がない人を何十年と雇う費用よりは、研修費用の方が遥かに安上がりだ」と。少なからず、こういう意図があると思います。

これは、解雇要件が厳しい日本の現状において、一定の合理性はあるかもしれませんが、安易に大量採用しておいて、「最近のやつは甘い、厳しい指導をして社会の現実を、、、」とふるい落としていくやり方は、決して人を大事に扱う会社とはいえません(私自身、体育会系身であり、この手の研修は平気な人間ですが、“ナシ”だと思っています)。

 

”両面訴求”が必須

では軍隊型研修はいきすぎにしても、「自社に合う新入社員を採用したい」、「ミスマッチをなくしたい」という企業はどうすれば良いのでしょうか。

答えとしては、採用時に「プラス面とマイナス面」をちゃんと伝えて(『両面訴求』)、ミスマッチをなくすことです。そうすれば、採用側も採用される側も、大きな不幸を回避することができます。

良くないのは、採用時に企業や仕事のプラス面しか伝えないパターンです。「こんな魅力的な会社だ」「こんな魅力的な仕事だ」「こんな凄い先輩がいる」と良い面しか伝えない。これでは、入った後に、「え?こんな仕事なの?」「こんなに辛いのか、、、」といったギャップが生まれます。それが「こんなはずじゃなかった」というミスマッチが発生します。

そのため、採用時には、プラス面だけではなく、マイナス面もしっかり伝えることが大事です。「現場では辛いこともあるよ」「同い年くらいの医師が偉そうな態度で接してくる」「くだらない自慢話されたり、こんなくだらない理由でクレームしてくることもある」「それでも大丈夫か?」と。

「え?そんなことを言ったら採用なんかできないよ」とあるかもしれませんが、それは伝え方を工夫すれば良いのです。「実際はこんな辛いこともある、でも、その先にはこんな仕事ができるよ」「こんな理不尽なことは沢山ある。でも、仲間とそれを乗り越えて、作り上げた商品が売れた時は本当に充実した瞬間なんだ」など、伝え方は幾らでもあります。

このような、プラス面とマイナス面をしっかり伝える(両面訴求)採用活動を行うことが、今回のような不幸をなくす第一歩ではないでしょうか。

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